ディーター・ラムス:
グッド・デザインの10の原則
1980年代初頭、ディーター・ラムスは社会の状況についてさらに深い懸念を抱くようになりました。「止むことのない形と色と騒音の不可解なまでの混乱」に満ちたこの世界に、ラムス自身が少なからぬ影響力を持っていることを自覚し、繰り返し自問していたのです。「自分のデザインは、グッド・デザインなのだろうか?」
グッド・デザインを「計る」ことはできませんから、考え続けるなかで最も大切だった10の原則を表すことでグッド・デザインを定義したのです(しばしば聖書になぞらえて『十戒』と呼ばれます)。
以下が「10の原則」です。
ヴィツゥのデザイナー、ディーター・ラムス 撮影:Abisag Tüllmann
グッド・デザインは革新的
ものごとを革新していくための可能性が尽きることはない。技術の進化がつねに、革新的なデザインへの新たなチャンスを与えてくれる。しかし、革新的なデザインとは、つねに技術の革新とともに生み出されるものであり、デザインだけで完結することはない。
ブラウン「TP 1」ラジオ・レコードプレーヤー複合機 ディーター・ラムス 1959年
グッド・デザインは実用的
人は製品を使うために買う。その製品は機能面だけでなく、心理的、美的な面においても、一定の基準を満たしていなければならない。グッド・デザインとは、不要なものを可能な限り削ぎ落とし、実用性を最も重視したものだ。
ブラウン「MPZ 2」シトラス・ジューサー ディーター・ラムス+ユルゲン・グロイベル 1972年
グッド・デザインは美しい
製品は、日々それを使う人の個性、健康や暮らしの質にまで影響をおよぼすのだから、製品の実用性に美しさが加わることが欠かせない。しかしながら、ていねいに仕上げられたものだけが美しい。
ブラウン「RT 20」中超短波ラジオ ディーター・ラムス 1961年
グッド・デザインは説明不要
グッド・デザインは、製品の構造を際立たせる。さらに、製品が語りかけてくる。そして、最も優れたデザインは、それ自身ですべてを語る。
ブラウン「T 1000」ワールドレシーバー ディーター・ラムス 1963年
ディーター・ラムス、T 1000について語る
ディーター・ラムスが、ブラウンT 1000ラジオのデザインについて語る
グッド・デザインはでしゃばらない
役割を果たすための製品は、道具のようなもの。装飾的なオブジェでも美術品でもない。使う人の個性を発揮する余白を残すためにも、デザインはニュートラルで控えめであるべきだ。
ブラウン「T 2」卓上ライター ディーター・ラムス 1968年
グッド・デザインは誠実
グッド・デザインは、製品を実際以上に革新的、強力、有用に見せたりはしない。守ることのできない約束で消費者を操るものではない。
ブラウン「L 450」スピーカー、「TG 60」オープンリール・レコーダー、「TS 45」コントロール・ユニット ディーター・ラムス 1962〜64年
グッド・デザインはながもち
グッド・デザインは、流行から距離を置く。そのため、古くなることもない。ファッショナブルな流行のデザインとは異なり、今日のような使い捨て社会にあっても、長く使われ続ける。
ヴィツゥ 620 チェアー・プログラム ディーター・ラムス 1962年
“ただ他とちがって見せるためのデザインが、他より優れていることはほとんどない。他よりも優れたものにするためのデザインは、かならず他とはちがうものになる。”
ディーター・ラムス 1993年
“すべてのムダを削り取ることで、そのものの持つ本質を最良の状態で示すことが私のゴール。”
ディーター・ラムス 1980年
グッド・デザインは
ディテールまでが完璧
あいまいさや予測不能な要素をいっさい残してはならない。デザインをするうえでの細心さ、正確さは、消費者への誠意を示すものだ。
ブラウン「ET 66」計算機 ディートリッヒ・ルプス 1987年
グッド・デザインは環境にやさしい
デザインとは、環境保全に大きな役割を担うものだ。製品がつくられ、その役割を全うするまでの間、資源を節約し、物理的に環境を汚染せず、そして見苦しいという視覚的な汚染もしてはならない。
ヴィツゥ 606 ユニバーサル・シェルビング・システム ディーター・ラムス 1960年
グッド・デザインは
ほとんどデザインされていない
「Less, but better」——より少なく、しかもよりよく。それは、本質的な部分に集中するということ。それによって製品は、不要で過剰なデザインから開放される。
純粋で簡素、そこに立ち返ることだ。
ブラウン「L 2」スピーカー ディーター・ラムス 1958年
私たち、ヴィツゥのめざすもの
1959年当時、ヴィツゥがめざしたものは、流行と距離を保つこと、そして、使う人それぞれの人生の色に染め上げることができるニュートラルなキャンバスのような製品を作ろうということでした。
それから半世紀が過ぎ、私たちのめざすものはこれまで以上に明快です。もっと多くの人々に、「よりよく暮らすには、ながもちするものを、少しだけ」——この考え方のすばらしさを知っていただきたいと考えています。
私たちのシェルビング・システム
1960年にディーター・ラムスがデザインした606 ユニバーサル・シェルビング・システムは、「Timeless」——時代を超えて生き続けるシステムと評価されてきました。
最初は最小限のシステムからはじめ、少しずつ加えてゆく、組みなおす、そして引越しをしても新居に取りつけられるシステムです。
1枚の棚板だけでも、大きな書架まるごとでも、お好きな単位でご注文いただけます。


