ディーター・ラムス(1932〜)に
大きな影響を与えたのは
大工だった祖父の存在でした。
1955年にブラウン社に入社する以前、
ラムスは建築家としての経験を積んでいます。
“ディーター・ラムスとは、デザインにおける良心。そして、真の機能主義。見かけ倒しのもの、ムダを生むようなこととは無縁。使い捨てがはびこる社会に異を唱え、時間をかけ、確実に改良を繰り返しながらものをつくり上げるのが彼のスタイル。”
ヒュー・ペアマン 『Blueprint』誌
“最も影響力のある20世紀を代表するインダストリアル・デザイナー、ディーター・ラムスは50年代にブラウン社の名前を一躍有名にした功労者。シンプルな美しさと使いやすさを兼ね備えた多くの家電製品を生み出した。”
フランチェスカ・サイズ 『Elle Decoration』誌
デザインにおける「持続可能な発展」
1970年代、ラムスはデザインにおける持続可能な発展という考えを提起しました。しかし、同時にブラウンもヴィツゥも、この問題と無縁ではいられないということを認識していました。
彼は「自分のデザインはグッド・デザインだろうか?」と、自らに問いました。そして、彼が導き出した答えは「グッド・デザインの10の原則」と呼ばれ、今日も高く評価されています。この原理について、雑誌『Elle Decoration』のミシェル・オグンディンは、「今日でも、これほどまでに緻密なグッド・デザインについての定義は存在しない」と言います。
いまでも、ラムスはこれまで以上に情熱的にデザインにおける良心について語り、彼に続く者たちに向けて、研ぎ澄まされた助言を続けています。そして、彼らのほとんどが、ラムスから多大な影響を受けたと認めているのです。
ヒュー・ペアマンが、ディーター・ラムスの70歳の誕生日に際して『Blueprint』誌にこう記しています。「ハッピー・バースディ、ディーター。いまほどあなたのメッセージの適切さが実感できる時代はありません」。まさにそのとおり。
未来のために
ラムスはデザイナーたちに、世界の危機的な状況にもっと責任を持つべきだと唱えています。安易にものを捨て続けるのなら、資源に限りのあるこの星でどうやって人は生きていけるのか、よく考えてみようと訴えているのです。
あるいはブルントランド委員会が1987年に定めた持続可能性の定義のとおりに、私たちは「未来の人々が必要とするものを損なうことなく、現代の人々の求める発展を可能」にしながら生きていかなければなりません。
使い捨てを前提としたものづくりに反対します
たとえば、比較的豊かな世界に住む人々に向けて、より多くの企業がこんな提案をしてみるのはどうでしょう。「質の劣るものをたくさん買うよりも、上質のものを少しだけ買い、それを長く使う暮らしをしてみませんか」と。
RT 20 中超短波ラジオ ディーター・ラムス 1961年
世界中のあちこちに、もう省みることすらされなくなった警告が散らばっています。どんどん短命になっていく製品があっという間に捨てられてしまう、そんな消費が悲しい結末を招くことに気づかぬままでいられるのでしょうか? 世界中に影響力を持ついくつかの家具メーカーが、あからさまな家具の使い捨てを推し進めていることをきっかけに、ヴィツゥとディーター・ラムスはこうした問題提起を続けていこうと考えるようになりました。
ディーター・ラムス on TV&A(英語)
50年前、レコードプレーヤーは機械というよりは、古めかしい茶色の木材でつくられた家具のようなものでした。しかし、1956年に発売されたディーター・ラムスのデザインによるオーディオ・セット「SK 4」(愛称・白雪姫の棺)がすべてを変えてしまったのです。
*TV&A(現在はV&A Channel)は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が制作したビデオです。
